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部長日記-第14回糖尿病性神経障害を考える会

八月最後の週末、「糖尿病性神経障害を考える会」(東京)に行ってきました。今から20年ほど前、我が国の糖尿病医療では神経障害がままこ扱いだった頃、世界ではMayoのDyck先生、PennsylvaniaのAsbury先生、LondonのThomas先生、MinnesotaのKennedy先生などの錚々たるneurologistが糖尿病神経障害の研究をすでに強力に推進していました。神経障害のために足を切断する糖尿病患者が米国だけで年間数万人にも達していたからです。実際のところ、我が国でも糖尿病患者の爆発的増加はその頃すでに始まっていたので、神経障害に関する糖尿病学と臨床神経学の交流が是非必要だと弘前大学の八木橋操六教授が声高に叫ばれて、この会が始められたのでした。
 しかし、糖尿病専門医は神経現象にうとく、神経内科専門医は糖尿病自体の理解が浅薄という当たり前の現実に直面し、当初は互いの主張がもろにぶつかり合う険悪な雰囲気が生まれました。特に夕食後一杯やりながら進められるイブニングセミナーでは罵声さえ飛び交い、まるで国会乱闘さながら。参加者全員、予想外の修羅場出現に憔悴しきったものでした。しかし、数々の貴重な症例報告や討論を重ねるうちに参加者の相互理解が徐々に築かれ始め、両者共通のコンセンサスを基本にした神経障害診断基準が本会で作成され、病期分類も編まれて共同臨床研究が始まるなど大きな果実が実り始め、今では我が国の糖尿病神経障害医療における中核としての位置付けが定着しました。めでたしめでたし。
 今年度は患者数は比較的少ないけれど、下肢や腕の麻痺が患者を苦しめる「運動神経障害」を話題の中心として、2日間ホットなディスカッションがくり広げられました。トリの特別講演は筋肉病学で有名な国立神経センターの埜中征哉先生でしたが、埜中先生「こんなに何でも云い合える熱い集まりがこの国にあるとは知らなかった、来年も是非参加したい!」とのご感想でした。埜中先生のお話は神経原性筋構造変化を中心に、現在関係なさっておられる宇宙での筋変化にも言及したユニークなものでした。写真左は多発神経障害の下肢筋萎縮の電気生理学的実態について講演中の小生、写真右は日本の宇宙ステーション「希望」における実験の模様をお話中の埜中先生です。

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