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部長日記 Neurodiab2011その2 “The Last Mile”

10月 3rd, 2011

 今回のNeurodiab Meetingで最も印象的だったのは,ミネソタ大学のWilliam Kennedy先生ご夫妻に久しぶりにお会いしたことです(写真).1Kennedy先生はあのKennedy型筋萎縮症の発見者,私たちの時代の最高のneurologistのお一人です.直接師事した事はないのですが,小生はなぜか若い頃から色々な機会にKennedy先生から声をかけていただき,今では恩師Gilliatt先生やPK.Thomas,Ian McDonald先生亡き後の小生の心の師のお一人になりました.80歳を越えてもなお矍鑠とし,皮膚生検による皮下神経分析法を確立されるなどの研究を精力的に続けておられること,驚異と云うほかありません.

 今回も3日目朝8時から彼の講演が予定されていましたが,前日の昼食をご一緒したとき彼から「僕の明日のレクチャー,正確には何ていう題だっけ?」と尋ねられたので,手持ちのプログラムを指差し「消化管自律神経のお話です,皆とっても期待しています!」と申し上げたところ,彼は「そうかぁ,Barba,実は明日の講演では何を話すべきか,まだ迷っているのだよ」とおっしゃったのです.小生は「そうですよね!僕もlectureではスライド入れ替えつつ直前まで悶々とします」と申し上げたところ,Kennedy先生は「ギリギリまで迷うのはいいことだよ!」と相槌を打たれ,僕のプログラムの中のご自分の演題名のところに「The Last Mile」と書かれて(写真),2「特にこの年になると,本当に伝えなきゃいけないことは何なのか迷うんだ」「消化管の神経も重要だが,感覚の診かたがこのままでいいのか考えてもらう方がもっと重要かもしれない」とおっしゃったのです.となりに座った奥さんのモラさんが「彼80越えたけど,まだグラントたくさんもらってるのよ!余しちゃったら私が使わせてもらうわ.私まだ80前だから!」などとブラックジョークで茶化したりするものの,小生が感じたのは研究者としての「The Last Mile」を前にして後進に精一杯メッセージを伝えたいというKennedy先生の強い意志.本当に心が揺さぶられました.

彼が感覚テストに興味を持っていることは,数年前に竹串の尖端と鈍端を分別させる方法を発表したとき「GPにも使える良い方法だ,よくやった!」といたく感激していただいたことから,うすうす感じてはいました.一期一会にかけるKennedy先生のお気持ちが最終的にどのようなお話になったのかは,また別の機会に書くとしましょう.

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