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Archive for 10月, 2009

東北免疫性神経疾患治療研究会

10月 30th, 2009

仙台市で開催された第2回東北免疫性神経疾患治療研究会に参加しました。
神経免疫疾患は、適切な治療によって、患者さんが劇的に回復する場合があるという点がとても魅力的な分野です。しかし、残念ながら治療抵抗性といわざるをえない患者さんにであったとき、どこまでどんな治療をしていけばいいのか 判断が難しい場合がままあり、治療は不足ではなかったか、あるいは、いきすぎではないかと毎回頭を悩ませています。神経免疫疾患に関する研究会はそれほど多くなく、このような他施設の先生方のお話を聞くことのできる会はとても勉強になります。
 さて、今回の特別講演は、埼玉医科大学の野村恭一先生による血漿交換についてのお話でしたが、患者さんをいかに早くよくするかという視点にたった果敢な診療スタイルにとても感銘をうけました。

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論文発表

10月 23rd, 2009

三木先生の論文が、Neuropahology  にacceptされました。

 

Sporadic amyotrophic lateral sclerosis with pallido-nigro-luysian degeneration: A TDP-43 immunohistochemical study           

 

○三木康生 (Yasuo Miki, Fumiaki Mori, Jin-ichi Nunomura, Keizou Ookawa, Nobuhisa Yajima, Soroku Yagihashi and Koichi Wakabayashi)

Neuropathology (2009) Aug 23 [epub ahead of print]

 

Nishihiraらは筋萎縮性側索硬化症(ALS)におけるTDP-43 pathologyには2種類存在することを報告した(Acta Neuropathol 2008; 116: 169–182)Type 1では古典的ALSの病変に一致した分布であった。Type 2は前頭側頭葉皮質、海馬体、新線条体、黒質など広範な部位でTDP-43陽性封入体を認め、有意に認知症と関連していた。

 ALS with pallid-nigro-luysian degeneration (ALS with PNLD)は大変稀で、過去に数例報告があるのみである。最近、我々は罹病期間約9年、人工呼吸器装着期間約6年のALS患者を経験し、神経細胞脱落およびTDP-43陽性封入体の分布は古典的ALSの病変分布に加え、黒質、淡蒼球内節、視床下核にも分布しており、それ以外の部位では認めなかった。これらの所見よりPallido-nigro-luysian systemもまたALSの形成過程に関連しており、ALS with PNLDはこれまでの認知症をともなうALSTDP-43陽性封入体の蓄積部位とは異なる可能性があると考えられた。

 

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部長日記-糖尿病合併症学会

10月 20th, 2009

東海地方から本州を縦断して三陸沖に抜けた大型台風18号に正面衝突しそうになりながらも、何とか肩すかしで避け、岡山の糖尿病合併症学会(101920日)に行ってきました。

 今回の学会でとても印象深かったのは、驚くなかれ、本場のインド古典舞踊。招待講演者UCSDDr. Kumar Sharmaに同行した奥さんのShobaさんが実はプロのインド古典舞踊の名手で、その彼女が1時間ほどのインド舞踊を公開公演なさったのでした。ガネーシャやシバ、クリシュナなどおなじみの神々や阿修羅が立ち代り現われる愛や嫉妬に彩られた4つの物語。観衆はインドのコスチュームにつつまれた繊細でしなやか、かつ強靭な彼女の動きに息を呑んでいましたが、最前列に陣取った小生は彼女の足に見とれちゃったのであります。裸足の足や趾にかくも多彩な表情があるとは!・・・実はその直前、小生は糖尿病ニューロパチー患者の足甲の短趾伸筋萎縮と筋電図の話をし、筋萎縮の診方を質問されたので、それに答えようと我が足を出そうとしたところ、会場の失笑をさそったばかりだったのです。彼女の短趾伸筋は5cmほどの幅をもった力強くも立派な膨らみで、実に見事に鍛え上げられておりました。

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青森岩手神経免疫治療研究会

10月 15th, 2009

10月3日 青森岩手神経免疫治療研究会が開催されました。1年に2回 青森県と岩手県の神経免疫疾患の困った症例をもちより検討をおこなっています。この研究会は、結論がでていなくても困っている症例をもちより、ざっくばらんにみんなで検討するといった趣旨の会ですので、大変たすかっています。今回も、大変困っている症例をもっていき検討していただきました。 検討会のあとは、青森にいるとめったに聞くことがない馬場部長の講演がありこちらも勉強になりました。

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論文発表

10月 13th, 2009

三木先生の論文がMovement Disordersに掲載されました。

Incidental Lewy Body Disease Restricted to the Heart and Stellate Ganglia

○三木康生 (Yasuo Miki, Fumiaki Mori, Naohito Kuroda, Satoshi Orimo, and Koichi Wakabayashi)
Movement Disorders (2009)  Sep 30

Α-synucleinはLewy body (LB)やLewy neuritis (LN)を構成する主要な構造物であり、パーキンソン病(PD)の病理学的特徴である。α-synucleinは中枢神経系および末梢神経に蓄積するが、パーキンソン病やdementia with Lewy bodyにおける神経の変性は中枢神経より始まり、後に末梢神経を変性たらしめると考えられている。さらに、PD症状を示さない60歳以上の男女にもLBが出現することが知られていて、incidental Lewy body diseaseと言われる。Braakらによれば中枢神経系におけるα-synucleinの蓄積は迷走神経背側核と嗅球に最初に起こり、その後脳幹では延髄から中脳へと上行性に進行し、大脳皮質では側頭葉前内側部から側頭葉外側皮質、島回、帯状回、前頭前野へと広がっていく。しかし、未だLB病変がどこから始まり、そしてどのように進展するかは分かっていない。
今回、我々はPD症状を呈さない若年男性剖検例を経験し、LBsとLNsは交感神経節と心臓交感神経のみに限局していた。本例におけるLBの病変はPDにおける心臓交感神経のα-synucleinの蓄積と同一線上にあると考えられ、PDの過程で末梢自律神経は下位脳幹と同時あるいは以前に標的とされる可能性があると考えられた。

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部長日記   Ian McDonald先生のこと

10月 7th, 2009

先ごろ、脱髄疾患の研究に邁進しておられるある先生からジフテリア毒素についてご質問のメールをいただきました。ジフテリアなど今どき忘れ去られたような病気ですが、実はジフテリア毒素は非常に強力な脱髄毒素で、小生がロンドン大学のQueen Square神経病院で軸索萎縮を研究していた時、脱髄疾患の権威W. Ian McDonald教授からジフテリア毒素を分けていただき、弱毒化した少量のジフテリア毒素でモルモット軸索萎縮モデルにジフテリア神経炎を作成したことがあったのです。件の先生は小生がジフテリア毒素を扱ったことがあることを知り、お問い合わせのメールを下さった訳です。その内容についてはプライオリティの件がありますのでお話出来ませんが、小生にジフテリア毒素の使い方を教えてくれた多発性硬化症の権威、Ian McDonald先生の思い出をちょっと書きたいと思います。

McDonaldの多発性硬化症診断基準、知らない神経内科医はいないでしょう。McDonald先生は2年前に亡くなられるまで終始世界をリードし続けた研究者でしたけれど、もとはNew ZealandOtagoからQueen Squareに来られ、生理学のSears先生と脱髄の電気生理を研究なさるかたわら、小生の恩師Roger Gilliatt先生が主催される臨床神経学教室で臨床家としての頭角をめきめき現わされた方でした。80年代初頭のQueen Square水曜カンファレンス(症例検討会)でdiscussionの口火を切るのは決まってPK Thomas先生かMcDonald先生で、古典的な記載から最新の情報まで博覧強記の論陣を張るPKに対し、慎重な口ぶりで思慮深く病態解析をされるのがMcDonald先生の特徴でした。

Queen Squareの水曜カンファレンスはその全発言を速記者が記録し、タイピストが文書に仕上げていましたが、英語が苦手な小生のために懇意のタイピストがカーボン紙を挟んで小生の分も余分にタイプしてくれました。その600例余の症例記録はいまや小生の宝物です。Gilliatt教授の司会でAlaister Compston(現ケンブリッジ大神経内科主任教授)やAnita Harding(前ロンドン大神経内科主任教授)など当時の病棟医のプレゼンテーションに対するMcDonald教授やJohn Marshall教授、PK Thomas教授、Newsom Davis教授など沢山の先生方の討論が生々しく記録され、いま読んでも先生方の声が聞こえてくるようで胸がわくわくします。彼の英語はちょっと鼻にかかったposhなトーンで、英語の苦手な小生にはとても分かり易かったことが思い起こされます。

McDonald先生が患者の眼底を除いた瞬間に「梅毒性」と確診したのにビックリしたことがあります。日ごろ沢山の患者の眼底をみているからこそ出せる診断ですね。今はやりの頭でっかちのひ弱な研究者ではなかった。特筆すべきは、McDonald先生はニキタ・マガロフとも親交があった大変優れたピアニストだったことで、晩年罹患されたStrokeによる御自身の失音楽とピアノ演奏能の回復過程の自己記載(Brain129:2554,2006)が白鳥の歌となったことなどは、論理と臨床と繊細な感性に生きたMcDonald先生の真骨頂だと感じます。ちなみに、83年に帰国した小生を87年に英国王立医学会会員に推挙して下さったのはGilliatt先生とMcDonald先生でした。写真左は1982年晩秋のロンドン大学神経病院(National Hospital)とQueen Square、写真左はその年のクリスマス休みの時にとられたもので、若かりし小生の後に白衣の恩師Gittiatt先生が立たれ、隣にshyな笑顔を見せているMcDonald先生がおられます。小生の隣は当時のNeurology研究室のChief TechnicianMr.Yogendranです。

 

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後期研修医募集開始!

10月 5th, 2009

22年度の後期研修医の募集要綱ができました。わたしたちは、ともに学びともに歩む仲間をひろく募集しています。必要なものは神経内科へのささやかな興味と患者さんをよくしてあげたいという情熱です。この2つを持っている方に、我々は、門戸を広く開放しています。当科の特徴は、だれでも意見がいえる自由な雰囲気です。治療方針や、医局の方針について、だれでも自由に意見をのべることができます。そして、その意見に対して、だれでも反論をのべることができます。進路も自由です。数年ここで勉強してその後、また別の道を選択したいということももちろん可能です。性別年齢はもちろん問いません。 当科の充実した人員を背景に、臨床、学会活動 研究も活発に行っています。一緒に神経内科学を勉強していきましょう。興味のある方はご一報ください。募集要項をお送りいたします。

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抄読会

10月 1st, 2009

火曜日の夕方には、毎週抄読会をおこなっています。今回は、9月いっぱい当科で一緒にお仕事をしてくれた研修医の先生が担当です。脳梗塞についてのReviewを スライドに美しくまとめてプレゼンしてくれました。今回の研修医の先生は、外科系志望とのことでしたが、当科の研修に熱心にとりくんでくれたとおもいます。神経内科のおもしろさの一端をわかっていただけたのではないかと思いますが、どうでしょうか。機会があればまた一緒に勉強しましょう。

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